ノゼマ・セラナエ(Nosema ceranae)

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⚠️ 重要:このページの情報は一般的な参考情報であり、診断や治療に代わるものではありません。確定診断には必ず獣医師に相談するか、認可された検査機関で検査を受けてください。薬剤は承認された製品のみを、添付文書と法定の休薬期間に従って使用してください。届出伝染病が疑われる場合は、家畜保健衛生所に連絡してください。

Nosema ceranae は、成蜂の中腸に感染し、胞子によって広がる微胞子虫です。Nosema apis と違って多くの場合は下痢の跡を残さず、一年中どの季節にも見られ、コロニーは静かに弱っていきます。診断は顕微鏡でしかできません。最も効果的な対策は、巣板の更新、十分な栄養、バロアダニの防除です。

どんな病原体か

本来の宿主はトウヨウミツバチ(Apis cerana)です。セイヨウミツバチ(Apis mellifera)では2000年代半ばに気づかれましたが、古い試料を調べたところ、それ以前から存在していたことがわかりました。現在では世界のほぼどこにでも見られ、トルコを含む多くの地域で N. apis よりも広く分布しています。最新の分類では Vairimorpha ceranae という名前でも呼ばれます。

蜂は胞子を口から取り込みます。胞子は腸の細胞に入り込んで増殖し、細胞を壊し、糞とともに何百万もの新しい胞子が排出されます。感染した蜂は餌を十分に利用できなくなり、早くから外勤を始め、短命になります。

顕微鏡で見た、米粒に似た楕円形の2つのノゼマ・セラナエの胞子
1000倍で見た Nosema ceranae の胞子:縁が光る、米粒のような楕円形の構造です。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

Nosema apis との違い

特徴N. apisN. ceranae
季節冬の終わりから春に目立つ一年中見られる
下痢の跡よく見られる多くの場合ないが、見られることもある
経過症状が出て、多くは春に自然に治まる気づかれにくく、症状を出さずに群を弱らせる
気候冷涼で湿った条件で目立つ温暖な気候や暑い気候でもよく増える
顕微鏡での見え方胞子がやや大きい胞子がやや小さい

実際的な結論:巣箱に糞の跡がないからといって、ノゼマがいないとは言えません。きれいに見えるコロニーでも、重い感染が起きていることがあります。

寸法を示したノゼマ・アピス(左)とノゼマ・セラナエ(右)の胞子
寸法つきの比較:左は N. apis、右は N. ceranae の胞子。違いはごくわずかで、2種を確実に区別するには分子生物学的検査(PCR)が必要です。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

見分け方

症状に特異性はありません。次のような状態が重なって見られたら疑いましょう。

  • 原因のわからない、数週間かけて進む蜂数の減少
  • 蜂児圏はそれなりにあるのにコロニーが大きくならず、採蜜量が落ちる
  • 外勤蜂の減少。巣箱の前に這い回る蜂や死蜂が少数見られる
  • 女王蜂がいつの間にか更新される、または早く失われる
  • 秋には強く見えたコロニーが冬を越せない
巣箱の巣門板についた濃い褐色の糞の跡
検査機関で N. ceranae が確認されたコロニーの、巣門板についた糞の跡。まれに下痢が見られることもありますが、下痢がないからといって病気を否定することはできません。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)
巣箱の底板の上の多数の死蜂
ノゼマに感染したコロニーの底板にたまった死蜂。同じ光景は飢餓、中毒、ほかの病気でも見られ、原因は検査で初めてわかります。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

どう感染するのか

  • 胞子で汚染された巣板、蜂蜜、花粉。使用済みの巣枠を巣箱間で使い回すこと
  • 巣箱内で掃除をし、餌を分け合う蜂
  • 盗蜂や迷い蜂
  • 汚れてよどんだ共用の水場
  • コロニー、パッケージ蜂、女王蜂の売買

巣箱での確認方法

  1. 適切な蜂を採取する。胞子が最も多いのは老齢の蜂です。できれば巣門に戻ってくる外勤蜂から採りましょう。育児圏の若い蜂は胞子が少なく、結果を実際より良く見せてしまうことがあります。通常は30匹ほどで十分ですが、検査機関が必要とする数を事前に確認してください。
  2. 顕微鏡検査:蜂の腹部を少量の水とともにすりつぶし、400倍で胞子を探します。顕微鏡をもっている養蜂家なら、この方法を習得できます。
  3. 種の区別:N. ceranae と N. apis を区別するには、検査機関で分子生物学的検査を行います。

腸の外見(膨らんで白っぽくなった中腸)は N. apis ではより顕著ですが、N. ceranae では多くの場合、確かな目印になりません。

巣箱から持ち上げた巣枠から容器に蜂の試料を採取しているところ
検査機関に送る蜂の試料を、巣枠の上から容器に採取しています。どの蜂を、何匹、どのように送るかは、事前に検査機関に確認しましょう。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

ほかのストレス要因と重なったときの影響

N. ceranae がコロニーに与える影響は、地域や条件によって異なります。深刻な群の損失と関連づけた研究もあれば、より限られた影響しか見いださなかった研究もあります。共通した見解は、バロアダニ、ウイルス、栄養不足、農薬への曝露と重なると被害がはっきり大きくなる、というものです。コロニーが原因不明のまま弱っている場合は、1つの原因を探すのではなく、これらの要因をすべてまとめて確認しましょう。

どうすればよいか

  1. 古く黒ずんだ巣板を定期的に更新する。胞子は巣板にたまります。毎年巣板の一部を更新することが、最も効果的な構造的対策です。
  2. 栄養状態をよく保つ。多様で十分な花粉源と、蜜源の乏しい時期の適期の給餌が、コロニーの抵抗力を高めます。
  3. バロアダニを抑える。全体のストレスを減らすうえで最も重要な一歩です。
  4. きれいな水を用意する。養蜂場の近くに、きれいな流れる水、またはこまめに取り替える水場を設けましょう。
  5. 弱いままのコロニーを立て直す。女王蜂の更新や、コロニーをきれいな巣板に移すことが役立ちます。重く感染したコロニーを健康なコロニーと合同すると病気を持ち込むおそれがあるので、合同の前に診断をはっきりさせましょう。
  6. 空の巣板を消毒する。病気のコロニーから出た、蜜の入っていない空の巣板は、酢酸の蒸気で消毒できます。酢酸は腐食性があるので、保護具をつけ、屋外の蜂のいない場所で行います。
  7. 巣板や巣枠をコロニー間で使い回さない。とくに病気のコロニーから出た資材を健康なコロニーに入れないでください。

薬剤による治療

かつてノゼマ病に使われたフマギリンは、欧州連合を含む多くの国で承認されておらず、N. ceranae に対する効果にも議論があります。市販されている植物由来の「ノゼマ対策」製品の効果についても、根拠は限られています。自己判断で薬剤を使わず、お住まいの国で承認されている選択肢や採蜜に関する制限については、獣医師に相談してください。

確定診断は顕微鏡で行います。「巣箱はきれいに見える」「下痢はない」という観察だけでは N. ceranae を否定できません。原因のわからない衰弱があれば、試料を送りましょう。
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