イスラエル急性麻痺病ウイルス(IAPV)

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⚠️ 重要:このページの情報は一般的な参考情報であり、診断や治療に代わるものではありません。確定診断には必ず獣医師に相談するか、認可された検査機関で検査を受けてください。薬剤は承認された製品のみを、添付文書と法定の休薬期間に従って使用してください。届出伝染病が疑われる場合は、家畜保健衛生所に連絡してください。

イスラエル急性麻痺病ウイルス(IAPV)は、成蜂に翅の震え、麻痺、巣箱前での大量死を引き起こすことがあるRNAウイルスです。単独では多くの場合目立った害を示さず、本当の被害はバロアダニと組み合わさったときに現れます。巣箱の前で確定診断はできません。養蜂家がすべきことは、バロアダニを少ない状態に保ち、疑わしい場合には検査機関に試料を送ることです。

どんなウイルスか

IAPVは、急性麻痺病ウイルス(ABPV)やカシミールミツバチウイルス(KBV)と近縁のウイルスです。この3つをまとめて「急性麻痺病グループ」と呼び、症状も感染経路もほぼ共通しています。麻痺症状を示す蜂からイスラエルで初めて確認されたことが名前の由来で、現在では世界の多くの地域で見られます。

アメリカでは2007年に、蜂群崩壊症候群(CCD)との統計的な関連が報告されました。その後の研究で、IAPVは崩壊の唯一の原因ではなく、バロアダニ、栄養ストレス、ほかの病気とともに作用する要因のひとつであることが示されました。

このウイルスは、健康に見えるコロニーにも症状のないまま低いレベルで存在することがあります。バロアダニの寄生数が増えたとき、コロニーが飢えたとき、あるいはほかの病気で弱ったときに急速に増殖します。

どう感染するのか

  • バロアダニ:最も重要な経路です。ダニはウイルスを蜂の体液(血リンパ)に直接注入します。この経路で感染したウイルスは、はるかに致死性が高くなります。
  • 経口:蜂どうしの餌の受け渡し、育児蜂の分泌物、汚染された蜂蜜や花粉。
  • 女王蜂から子へ:ウイルスは卵を通じてもうつることがあります。
  • コロニー間:盗蜂、迷い蜂、巣枠や蜂の移動、外部から購入したパッケージ蜂や女王蜂。

このウイルスはマルハナバチなどほかのハチからも検出されており、花を介した伝播の可能性が研究されています。

見分け方

症状は蜂児ではなく成蜂に現れます。

  • 翅を震わせ、よろめきながら歩く蜂
  • 飛べずに巣箱の前や草の上を這い回り、仰向けになってもがく蜂
  • 麻痺が進んで短期間で死亡し、死骸の多くが巣箱のすぐ前にたまる
  • コロニーが短期間で弱り、巣枠上の蜂の数が蜂児の量に比べて少なくなる
  • 多くはバロアダニが増える夏の終わりから秋にかけて現れる
巣箱の底板に積み重なった死蜂
巣箱の底板に積み重なった死蜂。この例の原因はノゼマですが、麻痺病ウイルス、中毒、飢餓でも同じような死骸の山が見られます。死蜂の山だけでは診断はできません。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

似た症状との違い

状態典型的な様子見分ける手がかり
急性麻痺病グループ(IAPV、ABPV、KBV)震え、麻痺、数日以内の死亡バロアダニが多い。夏の終わり〜秋。確実な区別は検査機関でのみ可能
慢性麻痺病ウイルス(CBPV)体毛が抜け、黒く光って脂ぎったように見える蜂。震え。ほかの蜂に小突かれ、追い回される黒く光る蜂がはっきり目立つ
農薬中毒突然の大量死、口吻が出ている、もがく蜂複数の巣箱で同時に起こる。周辺で最近の農薬散布がある
ノゼマ病群の衰弱、巣箱の前や巣枠に下痢の跡主に春。顕微鏡で胞子が見られる
アカリンダニ翅を「K」字形に開いたまま飛べない蜂気管の検査
慢性麻痺病ウイルスに感染した、体毛が抜けて黒く光る蜂
比較のために:慢性麻痺病ウイルス(CBPV)では、蜂は体毛が抜け、黒く光って脂ぎったように見えます。急性麻痺病グループでは、ふつうこれほどはっきりした外見にはなりません。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

巣箱での確認方法

外見だけでは不十分です。急性麻痺病グループのウイルスどうしは、検査機関(分子生物学的検査)でしか区別できません。現場でできることは次のとおりです。

  1. バロアダニの寄生レベルを測る。アルコール洗浄法や粉砂糖法、または網底の下に入れる計数トレイを使います。麻痺症状とバロアダニの多寄生がそろっていれば、疑いは強まります。
  2. 中毒の可能性を除外する。周辺での農薬散布について調べ、複数の巣箱で突然の死亡があれば死蜂の試料を保存して届け出ましょう。
  3. 検査機関に試料を送る。症状を示している生きた蜂を清潔な容器に採取します。試料の保存方法(多くは冷蔵または冷凍)と送り先の検査機関は、家畜保健衛生所に確認してください。
多数のバロアダニが落ちている計数トレイ
バロアダニが大量に落下した計数トレイ。黒っぽい丸い点がダニです。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)
胸部にバロアダニを乗せた働き蜂
中央の蜂の胸部に赤褐色のバロアダニが見えます。ウイルスを体液に運び込むのはこのダニです。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)
巣枠から容器に蜂の試料を採取しているところ
検査機関に送るため、巣枠から容器に蜂の試料を採取しています。試料は必ず症状を示しているコロニーから採りましょう。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

どうすればよいか

  1. コロニーに目印をつけて分けて扱う。この巣箱からほかの巣箱へ巣枠、蜂、蜂蜜を移さず、分割もしないでください。
  2. バロアダニを抑える。計数値が高ければ、承認されたバロアダニ用の薬剤でラベルの指示に従って防除します。
  3. ストレスを減らす。蜜源の乏しい時期は糖液を、花粉が不足していればたんぱく質の補助飼料を与え、必要以上に頻繁に巣箱を開けないようにします。
  4. 盗蜂を防ぐ。巣門を狭めましょう。弱った群が盗蜂にあうと、ウイルスが近くの巣箱へ運ばれます。
  5. 病気の群を健康な群と合同しない。死亡が止まり、バロアダニが減るまで待ちます。
  6. 問題が続く場合は女王蜂を交換する。衛生行動が強く、バロアダニ抵抗性を目的に選抜された系統を選びましょう。
  7. 崩壊した群の巣板を広めない。古い育児巣板は溶かし、巣箱は清掃・乾燥させてから再利用します。

処置と薬剤の情報

IAPVやほかのミツバチウイルスに対して承認された薬はありません。抗生物質はウイルスに効かないうえ、蜂蜜に残留します。「ウイルスを退治する」とうたって売られている製品を信用しないでください。RNAを利用した方法の研究は、まだ実験段階にあります。

処置の中心はバロアダニ防除です。承認されている有効成分グループには、有機酸(シュウ酸、ギ酸)、チモールなどの精油成分、合成殺ダニ剤があります。流蜜期や継箱(貯蜜箱)を載せている間は、採蜜に適さない薬剤を使わないでください。同じ有効成分を何年も続けて使うと、ダニに抵抗性が生じます。

震えたり這い回ったりする蜂を見たら、まずすべきことは薬を探すことではなく、バロアダニを数え、中毒の可能性を除外することです。

予防

  • バロアダニの計数を年に数回(春、盛夏、夏の終わり、秋)行い、要防除水準を超えたら適期に防除しましょう。
  • 越冬蜂が育つ夏の終わりの時期はとくに守りましょう。この時期にバロアダニが多いと、冬に麻痺や群の損失となって返ってきます。
  • コロニーを強勢で栄養状態のよい状態に保ち、弱い群は適期に合同しましょう。
  • 蜂、女王蜂、巣枠を入手するときは、健康状態のわかっている供給元を選びましょう。
  • 巣箱を密に一列に並べすぎないようにし、色や目印で迷い蜂を減らしましょう。
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