嚢状幼虫病(サックブルード)

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⚠️ 重要:このページの情報は一般的な参考情報であり、診断や治療に代わるものではありません。確定診断には必ず獣医師に相談するか、認可された検査機関で検査を受けてください。薬剤は承認された製品のみを、添付文書と法定の休薬期間に従って使用してください。届出伝染病が疑われる場合は、家畜保健衛生所に連絡してください。

サックブルード病(英語で "sacbrood")は、ウイルスによって起こる蜂児の病気で、多くの場合は軽く経過します。死んだ幼虫は中身が液状の袋のようになり、巣房から丸ごと引き出すことができます。この病気が重要なのは、届出が義務づけられている腐蛆病と間違えられやすいからです。正しく見分ければ、無用なパニックも、本物の腐蛆病の見落としも防げます。

どんな病気か、どう感染するのか

原因はサックブルードウイルス(SBV)です。ウイルスは、育児蜂が与える餌を通じて生後数日の若い幼虫にうつりますが、幼虫が死ぬのは巣房に蓋がされた後の前蛹期です。幼虫は最後の脱皮を終えられず、古い皮膚と体の間に液体がたまり、液の詰まった袋のようになります。

死んだ幼虫を片づける若い働き蜂がウイルスを取り込み、下咽頭腺に保有します。これらの蜂は症状を示しませんが、寿命が短くなることがあり、幼虫に給餌する際にウイルスを広げます。バロアダニもこのウイルスを運ぶことがあります。コロニー間では、盗蜂、迷い蜂、巣枠の移動によってうつります。

ウイルスは多くのコロニーに症状のないまま存在しています。病気はふつう、蜂児の生産が急速に増える春から初夏にかけて現れ、流蜜が始まると多くは自然に治まります。

見分け方

  • 蜂児の並び:まだら(まばら)な蜂児圏。その間に、蓋に穴の開いた巣房や、蓋が完全に取り除かれた巣房がある。
  • 姿勢:死んだ幼虫は巣房の中で背を下にして長く伸び、頭の端が巣房の天井に向かって反り上がっている。この形は小舟、ゴンドラ、スリッパにたとえられる。
  • 色:幼虫は真珠のような白から黄色、さらに褐色へと変わる。黒ずみはまず頭の端から始まる。
  • 袋:幼虫の皮膚は丈夫で、ピンセットで注意深く引くと破れずに、液の詰まった袋として丸ごと出てくる。
  • かさぶた(乾燥した死骸):乾くと、濃い褐色で小舟の形をした、先端の反り上がったかさぶたが残る。かさぶたは巣房の壁に貼りつかず、簡単に取れる。
  • におい:目立った悪臭はない。
開けた巣房内で液の詰まった袋状になり、頭部が黒ずんだ幼虫
蓋が取り除かれた巣房の中で、液の詰まった袋状になった幼虫。頭の端が黒ずんで上に反り上がっています。典型的なゴンドラ形です。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)
巣房から丸ごと取り出した、液の詰まった袋状の幼虫
ピンセットで巣房から丸ごと取り出した幼虫:皮膚は丈夫で、中身は液状です。この姿がサックブルード病の最も確かな目印です。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)
健康な幼虫とサックブルード病で死んだ幼虫の段階を比較した歴史的な図版
1917年の農業報告書に掲載された図版:上段は蓋の様子、中段は巣房内の幼虫、下段は巣房から取り出した幼虫の各段階。健康な白い幼虫から、濃い褐色のしわだらけの残骸へと変わっていく様子がわかります。 写真:White, G. F. / Wikimedia Commons · Public domain

似た病気との違い

サックブルード病アメリカ腐蛆病ヨーロッパ腐蛆病チョーク病
死亡する段階有蓋巣房内、前蛹有蓋巣房内、前蛹と蛹主に無蓋巣房内、若い幼虫有蓋巣房内、前蛹
外観液の詰まった袋、頭の端が反り上がる褐色で粘り気のある、溶けた塊丸まった形が崩れ、溶けた黄色っぽい幼虫白色または灰黒色の硬いミイラ
マッチ棒(つまようじ)テスト糸を引かない長く伸びる糸を引く通常は糸を引かないが、ときに短く伸びる糸を引かない
においなしはっきりした悪臭酸っぱい悪臭のことがあるなし
かさぶた簡単に取れる巣房にしっかり貼りつく比較的簡単に取れるミイラは簡単に取れる
届出義務なし義務あり義務あり義務なし
アメリカ腐蛆病で、ピンセットで引いた残骸が糸のように伸びる様子
比較:アメリカ腐蛆病では、残骸をピンセットで引くと褐色のガムのような糸を引きます。サックブルード病ではこれは見られません。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)
巣房の底に貼りついた黒っぽいアメリカ腐蛆病のかさぶた
アメリカ腐蛆病では、かさぶたが巣房の下側の壁にしっかり貼りつき、取り除くことができません。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)
ヨーロッパ腐蛆病で溶けて変色した幼虫
ヨーロッパ腐蛆病:主に無蓋巣房で、丸まった形が崩れ、溶けて変色した幼虫が見られます。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)
チョーク病で巣房内にできた白く硬いミイラ
チョーク病:幼虫は白く硬い、チョークのようなミイラになります。液状ではありません。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

巣箱での確認方法

  1. 疑わしい巣房の蓋を開け、幼虫の姿勢と色を見ます。
  2. ピンセットで幼虫をそっと引き出します。液の詰まった袋として丸ごと出てくれば、サックブルード病の可能性が高いといえます。
  3. 別の巣房でマッチ棒テストを行います。マッチ棒を残骸に差し込み、ゆっくり引き抜きます。糸を引かないはずです。
  4. においと、かさぶたが巣房に貼りついているかどうかを確認します。
  5. 糸を引く、悪臭がする、あるいは確信が持てない場合は、巣枠をほかの巣箱に移さずに家畜保健衛生所に届け出て、検査機関での検査を依頼しましょう。ウイルスの確定診断も検査機関で行われます。

どうすればよいか

多くの場合、病気は数週間のうちに自然に治まります。衛生行動の強いコロニーは、死んだ幼虫をすばやく片づけます。

  1. コロニーを強くする。蜂蜜と花粉の貯えを確認し、不足していれば糖液やたんぱく質の補助飼料を与えます。
  2. 巣箱の容積を調整する。蜂が覆いきれない余分な巣枠を取り出し、蜂児が冷えないようにします。
  3. 重く侵された巣枠を使い回さない。死んだ幼虫の多い古い巣板は溶かし、代わりに巣礎を入れます。
  4. 長引き、広がっている場合は女王蜂を交換する。女王蜂の交換は、短い無蜂児期間をつくると同時に、衛生行動の強い系統によってコロニーの遺伝的性質を変えます。
  5. バロアダニを抑える。ダニの寄生数が多いと、ウイルスは広がりやすくなります。
  6. 巣枠を移さない。症状のあるコロニーから、ほかの巣箱へ蜂児のある巣枠を入れないでください。

処置と薬剤の情報

サックブルード病に効く薬はありません。抗生物質はウイルスに効かず、蜂蜜に残留するので使うべきではありません。この病気に打ち勝つのは、強勢なコロニー、十分な栄養、そして衛生行動です。

トウヨウミツバチ(Apis cerana)では、同じウイルスの一系統が大きな被害をもたらすことがあります。一方、セイヨウミツバチでは症状は通常軽くすみます。

予防

  • 春にはコロニーを栄養状態よく、巣箱の容積に見合った群勢に保ちましょう。
  • 育児巣板を数年ごとに更新しましょう。
  • 衛生行動の強い系統の女王蜂を使いましょう。
  • 盗蜂を防ぎ、弱い群の巣門を狭めましょう。
  • 一年を通してバロアダニの寄生レベルを確認しましょう。
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