ブラシ(養蜂用具)

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蜂ブラシは、巣枠や継箱、衣服にとまった蜂をつぶしたり傷つけたりせずに払い落とすための、長く柔らかい毛が1列に並んだブラシです。主に、採蜜時に蜜枠から蜂を払う作業、分蜂群の回収、女王蜂探しなどに使われます。使い方を誤ると蜂を怒らせることがあるため、正しい技術と清潔なブラシが大切です。

蜂ブラシは何に使う?

  • 採蜜:継箱から取り出した蜜枠を振り落としたあと、残った蜂をブラシで巣箱へ払い戻します。
  • 分蜂群の回収:枝や壁、箱の縁に残った分蜂群の蜂を回収箱へ誘導します。
  • 内検と分割:巣枠から蜂を払って蜂児や卵、病気の兆候を確認したり、分割の際に蜂を目的の巣箱へ移したりします。
  • 巣箱の縁とふた:継箱を閉じる前に縁に集まった蜂を中へ払い込み、つぶれるのを防ぎます。
  • 衣服:蜂場を離れるとき、つなぎにとまった蜂をやさしく払います。
長い黄色の合成毛と木製の柄を持つ蜂ブラシ
典型的な蜂ブラシ:木製の柄に、長く柔らかい毛が1列に並んでいます。毛が長いので、蜂をつぶさずに払えます。写真:Robert Engelhardt / Wikimedia Commons · CC BY-SA 3.0

蜂ブラシにはどんな種類がある?

天然毛の蜂ブラシ

馬毛などの天然毛で作られ、たいてい明るい色をしています。毛は柔らかくしなやかで、蜂にやさしく当たります。その反面、はちみつやプロポリスがつきやすく、洗うたびに傷んでいきます。

合成毛の蜂ブラシ

ナイロンなどの合成毛を使ったブラシです。洗浄や消毒がしやすく、はちみつも毛につきにくくなっています。良い合成毛ブラシは、毛が長く細く、先端が柔らかいものです。毛の硬いブラシは蜂を傷つけ、怒らせます。

ガチョウの羽根と翼

伝統的な養蜂では、ガチョウの翼や大きな鳥の羽根がブラシ代わりに使われてきました。今でも好んで使う養蜂家がいます。羽根は蜂をとても柔らかく払えますが、はちみつやプロポリスで汚れると掃除が難しいため、衛生面からは使い捨てと考えるべきです。

明るい色の天然毛の古い蜂ブラシ
長く使い込んだ天然毛のブラシ:毛は時間とともにはちみつやプロポリスで汚れ、硬くなります。写真:Photograph: Frank C. Müller, Frankfurt am Main / Wikimedia Commons · CC BY-SA 4.0
蜂ブラシとして使われるガチョウの翼
ガチョウの翼は蜂ブラシの伝統的な代用品で、蜂をとても柔らかく払えます。写真:Maja Dumat from Deutschland (Germany) / Wikimedia Commons · CC BY 2.0
博物館に展示されたさまざまな蜂ブラシ
柄や毛の種類が異なる蜂ブラシ。どれにも共通するのは、1列の長い毛です。写真:運動会プロテインパワー / Wikimedia Commons · CC BY-SA 4.0

蜂ブラシを選ぶときのポイントは?

  • 毛の長さと柔らかさ:長く柔らかい毛は蜂を転がすように払います。短く硬い毛は脚や翅を傷つけます。
  • 1列の毛:毛が1列だと、蜂が毛の間に挟まるのを防げます。
  • 色:明るい色(黄色、白、クリーム色)の毛が好まれます。濃い色で毛羽立った表面は、蜂の防衛反応を強めることがあります。
  • 洗いやすさ:合成毛と、無塗装または耐水性の柄なら洗浄が楽になります。
  • 柄:手袋をしたまま握りやすい長さで、吊り下げ用の穴があるものがよいでしょう。

蜂ブラシの使い方

上手な払い方とは、蜂を押すことではなく転がすように滑らせることです。

  1. まず振り落とす:蜜枠を巣箱の上で持ち、短くきっぱりとした動きで下へ振り落とします。蜂の大半はこれで落ちるので、ブラシは残った蜂にだけ使います。
  2. 巣枠を垂直に持つ:巣枠を巣箱または空の継箱の上で垂直に持ち、払った蜂がそのまま巣箱に落ちるようにします。
  3. 軽く、一方向に:手首を使い、軽く素早いストロークで、上から下へ一方向に払います。同じ場所を何度も、押しつけるように払うと蜂が怒ります。
  4. 毛先を使う:ブラシを面に寝かせず、毛先だけが蜂に触れるようにします。
  5. 汚れたら中断する:毛がはちみつでくっつき始めたら、ブラシを水に浸して振り払います。べたついたブラシは蜂を払わず、引きずってつぶしてしまいます。
ブラシで払うことは、振り落とすよりも蜂を落ち着かなくさせることがあります。採蜜ではブラシを最後に残った蜂だけに使いましょう。女王蜂がいるかもしれない育児枠は、女王蜂が地面に払い落とされないよう、必ず巣箱の中へ向けて振り落としてください。
コロニーから蜂をブラシで払っている様子
蜂を巣門の前や巣箱の中へ払うときは、巣箱のすぐ上で作業します。空中に散った蜂は巣箱に戻りにくくなります。写真:Maja Dumat from Deutschland (Germany) / Wikimedia Commons · CC BY 2.0

蜂ブラシの代わりになるものは?

  • 振り落とし:ほとんどの巣枠で最も早い方法で、ブラシよりも蜂を怒らせません。
  • ビーエスケープ(蜂抜き板):蜜箱の下に入れる一方通行の板で、1〜2日で蜂を継箱から下へ移動させます。採蜜でブラシを使う必要が大きく減ります。
  • ブロワー:大規模な養蜂場では、蜜箱の蜂を風で追い出します。
  • 燻煙:軽い煙で蜂を巣枠から下へ追いやります。ただし採蜜時に使いすぎると、はちみつに煙のにおいが移ります。
分解したビーエスケープの部品
ビーエスケープの部品:蜂はばね付きの狭い通路を通って下へ降りますが、戻ることはできません。採蜜の前に継箱の下に入れます。写真:Artic (Wikimedia Commons uploader) / Wikimedia Commons · CC BY-SA 3.0

蜂ブラシの掃除方法は?

  • 使うたびに:ぬるま湯ではちみつを溶かし、毛をすいてほぐしてから、吊るして乾かします。
  • プロポリスと蜜ろう:ぬるま湯に洗濯ソーダを溶かした液で毛がきれいになります。熱湯は天然毛を傷めます。
  • 衛生:ブラシは巣箱から巣箱へと最も多く触れる道具の一つです。病気の疑いがある巣箱で使ったブラシは、ほかの巣箱で使ってはいけません。届出が義務づけられた病気が疑われる場合は家畜保健衛生所に届け出て、当局の指示に従って洗浄または廃棄してください。
  • 交換:毛が抜けたり、硬くなったり、まばらになったりしたブラシは交換しましょう。安価な道具なので、傷んだものを使い続けると蜂に害を与えます。

よくある失敗

  • 押しつけて払う:蜂がつぶれ、警報フェロモンが広がります。
  • はちみつでべたついたブラシを使い続ける:毛が蜂を引きずり、翅を折ってしまいます。
  • 空中で払う:蜂が地面や周囲に散らばり、女王蜂を失うおそれがあります。
  • 濃い色や毛の硬いブラシ:蜂を刺激します。

よくある質問

蜂ブラシは蜂を怒らせる?

押しつけたり、何度も繰り返したり、汚れたブラシを使ったりすれば怒らせます。清潔なブラシで、軽く一方向に払えば、蜂にはほとんど負担がかかりません。

蜂ブラシは何色がいい?

明るい色がよく、黄色、クリーム色、白の毛が好まれます。

ブラシの代わりに何が使える?

振り落とし、ビーエスケープ、ブロワー、または清潔なガチョウの翼です。

蜂ブラシはどうやって洗う?

ぬるま湯で、必要なら洗濯ソーダを加えた水で洗い、毛をほぐして吊るして乾かします。

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