巣箱の底板

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巣箱の底板(ボトムボード、台板)は、巣枠式巣箱のいちばん下にあり、巣門を備え、巣箱を地面から切り離す部品です。換気、湿気の排出、ダニのモニタリング、冬の安全は、その多くが底板で管理されます。適切に選び、よく手入れした底板は、巣箱を開けずにコロニーについて最も多くの情報を与えてくれる場所です。

巣箱の底板は何の役に立つ?

底板は、多くの養蜂家があまり気にかけない部品です。しかし巣箱の「床」であるため、ほとんどの問題がここに痕跡を残します。主な役割は次のとおりです。

  • 荷重を支える:育児箱と継箱の重さはすべて底板にかかります。たわんだり腐ったりした底板は、巣箱全体のバランスを崩します。
  • 巣門:標準的な巣枠式巣箱では、底板と育児箱の間のすき間が出入口になります。巣門の狭め器やネズミよけもここに取り付けます。
  • 換気と湿気の排出:巣内の結露水や、蜂が蒸発させた水分は下へ流れます。良い底板はこの水を外へ出します。
  • 観察と計測:落ちたダニ、ろうくず、死んだ蜂、害虫の痕跡が底板にたまります。
  • 断熱と防護:巣箱を地面からの湿気や、爬虫類、アリ、ネズミなどから遠ざけます。

巣箱の底板にはどんな種類がある?

密閉型(平板)底板

一枚板でできた、穴のない底板です。昔ながらの型式で、トルコでは今も広く使われています。

  • 風を防ぎ、冬に下からの熱損失を減らします。
  • 結露した水が底にたまりやすく、傾斜をつけないと木材がすぐに腐ります。
  • 落ちたダニが蜂と混ざり、ダニの計数ができません。
  • ろうくずや死んだ蜂がたまり、スムシにとって好都合な環境になります。

網底(開放型)底板

底板の中央部分が、蜂は通れないがダニは落ちる細かさのステンレスまたは亜鉛めっきの金網になっています(一般的な目開きは約3 mm)。現在、新しい巣箱で最も選ばれている型式です。

  • 換気がよくなり湿気がたまりにくく、夏の暑さの中でコロニーを楽にします。
  • 蜂が自然に落としたダニは這い上がれません。ただしこの効果は小さく、それだけではダニ対策になりません。
  • 下に引き出し式のトレーを差し込めば、ダニの落下数を数えられます。
  • 冬と早春にトレーでふさげるのは、寒く風の強い地域での利点です。
網底の底板と、その下に差し込むダニ落下調査用トレー
網底の下から引き出した調査用トレー。網のすぐ下にたまったくずの筋が、蜂がどの巣枠間に集まっているかを示しています。写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

特殊な底板

  • 高縁(深型)底板:下に空間を設け、冬の蜂球の下に空気の緩衝層をつくります。給餌や巣内作業のスペースにもなります。
  • 転地用底板:運搬時に段箱と一緒に固定でき、巣門を完全に閉じて金網で換気できます。
  • 二口・仕切り付き底板:一つの巣箱で2群(分割群や核群など)を飼うときに、別々の巣門を設けます。
  • プラスチック製・発泡製底板:軽く、腐らず、洗いやすい反面、日光で変形しない品質のものを選び、風に備えて固定する必要があります。

引き出しトレーはなぜそれほど貴重なのか?

網底の下に差し込むトレーは、ダニを数えるためだけのものではありません。いわば巣箱の「日誌」です。白か明るい色のトレーに、薄く油やワセリンを塗った粘着シートを組み合わせて使います。

  • ダニの落下数:トレーを数日間入れておき、落ちたダニの数を日数で割ります。1回の計数ではなく、週ごとの推移が重要です。駆除処置の後に効果を確かめるのにも使います。
  • ろうくずの筋:蜜蓋のくずが並んだ筋は、蜂がどの巣枠間に密集しているかを示し、冬には巣箱を開けずに蜂球の大きさと位置が分かります。
  • チョーク病のミイラ、死んだ蜂、スムシの幼虫:病気や害虫の兆候として、ここで最初に見つかることがあります。
  • こぼれた花粉:その色は、その週にどの植物から花粉が運ばれたかの手がかりになります。
ダニの落下が多い調査用トレー
ダニが多数落下している調査用トレー。小さな茶色の点が、落ちたミツバチヘギイタダニです。写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)
巣箱の底にたまったくず:ろうくず、花粉、蜂の断片
底板にたまったくずの拡大。ろうくず、花粉の塊、蜂の断片が、その日のコロニーの状態を物語ります。写真:Waugsberg / Wikimedia Commons · CC BY-SA 3.0
ヒント:トレーを入れっぱなしにしないでください。長く入れたままのトレーにはくずがたまり、スムシや小さな虫のすみかになります。計数をしないときは取り出して掃除し、乾かしてから戻しましょう。

底板はどう設置する?

傾斜

巣箱は前がわずかに低くなるように傾けて置きます。こうすると外蓋から染み込んだ水や巣内で結露した水が、巣門から外へ流れ出ます。後ろに傾いた巣箱では水が後ろの壁にたまり、冬にはこの水が蜂球の周囲を濡らし、巣板にかびを生やします。また、蜂は巣板を常に重力に沿って垂直に造ります。巣箱が横に傾いていると巣板が巣枠の面からはみ出し、隣の巣枠にくっついて、巣枠を簡単に取り出せなくなります。

地面からの高さ

底板を直接地面に置いてはいけません。巣箱台、コンクリートブロック、石、木製のそりなどで高くした底板は、

  1. 地面から上がる湿気や夜露を断ち、
  2. 木材の腐朽を遅らせ、
  3. カエル、トカゲ、アリ、ネズミなどが巣門に近づきにくくし、
  4. 養蜂家の腰も守ります。かがまずに内検できるからです。

草地では巣門の前の草を定期的に刈りましょう。伸びた草は巣門をふさぎ、湿気をためます。

コンクリートブロックの上に高く設置した巣箱の底板
コンクリートブロックで地面から高くした底板。巣門の前は開けており、飛行経路もすっきりしています。写真:Benlisquare / Wikimedia Commons · CC BY-SA 4.0

季節ごとの底板と巣門の調整

時期底板巣門
早春網底にはトレーを入れておく。底板を掃除するか交換する狭く。群の強さに応じて広げる
流蜜期と夏トレーは外してよい。換気を最大に強群では全開
無蜜期・盗蜂の時期計数のためにトレーを入れてもよい狭める。弱群では蜂1匹が通れる程度に
秋と冬寒く風の強い地域ではトレーを入れておく狭くしてネズミよけを付ける。決して完全には閉じない

冬に網底を開けたままにするかどうかは気候によります。温暖な地域での一部の研究では、開放型の底板でも越冬成績がはっきり悪くなることはないと報告されています。一方、厳しい大陸性気候や風当たりの強い養蜂場では、トレーを入れておくのが一般的で合理的なやり方です。

巣門に取り付けた金属製のネズミよけ
秋に巣門に取り付ける、穴のあいた金属製のネズミよけ。蜂は通れますが、ネズミは巣箱に入れません。写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

底板の手入れと掃除はどうする?

底板は巣箱の中で最も汚れやすく、最も湿気を受ける部品です。春の最初の暖かい日に、冬の間にたまった死んだ蜂、ろう、かびを取り除きましょう。

  1. 予備の底板を用意する:きれいで乾いた底板を巣箱の横に置きます。
  2. 巣箱の本体を慎重に持ち上げて新しい底板に移し、古い底板を取り去ります。巣箱の前で削るよりずっと速く、蜂への負担も少なくて済みます。
  3. 古い底板をハイブツールで削り、くずは養蜂場ではなくごみとして捨てます(病原体やスムシの卵を含むことがあります)。
  4. 木製の底板を乾かし、必要ならトーチで表面を軽く焼いて消毒します。網底では金網を硬いブラシで掃除します。
  5. 腐ったり、たわんだり、金網が破れたりした底板は、修理するより交換しましょう。

冬には死んだ蜂が巣門の奥に積み重なって巣門をふさぐことがあります。真冬の暖かい日に、巣箱を開けずに細い棒で巣門の内側から死んだ蜂をかき出せば、詰まりを防げます。

冬の終わりに網底にたまった死んだ蜂
冬の終わりに網底にたまった死んだ蜂。ある程度の冬の損失は普通のことですが、巣門がふさがってはいけません。写真:Maja Dumat from Deutschland (Germany) / Wikimedia Commons · CC BY 2.0
冬の後に底板のトレーに積み重なった死んだ蜂
餓死したコロニーの底板。秋に巣箱の重さと貯蜜の状態を確かめることの大切さを思い出させます。写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)
衛生:アメリカ腐蛆病のような届出義務のある病気が出た巣箱の底板を、ほかの巣箱で使わないでください。家畜保健衛生所の指示を待ち、資材は公的な指導に従って焼却または消毒します。

底板に関するよくある失敗

  • 底板を直接地面に置く:湿気、腐朽、害虫を招きます。
  • 後ろに傾いた巣箱:結露水が中に残り、冬の損失の目立たない原因のひとつになります。
  • 冬に巣門を完全に閉じる:蜂は排泄飛行ができず、湿気も外に出られません。狭めても閉じないこと。
  • 調査用トレーを何か月も入れたまま忘れる:スムシやかびの巣になります。
  • 網底を「ダニ駆除剤」と思い込む:網底はダニの落下を監視するための道具で、駆除には別途計画的な処置が必要です。
  • 寸法が合わない:別の型式の巣箱の底板は本体からはみ出したり、すき間をつくったりします。盗蜂やスムシはそのすき間から入ります。

巣箱の底板を選ぶときのポイントは?

  • 寸法の互換性:使っている巣箱の型式(ラングストロス式、ダダン式など)とぴったり合い、本体がすき間なく載ること。
  • 材質:木製なら節がなく乾燥した木材、金網ならステンレスか良質な亜鉛めっき線。
  • トレー:滑らかに差し込めてぴったり収まり、明るい色で、取り出して洗えるもの。
  • 巣門の調整:狭め器やネズミよけを付けられる、平らで頑丈な前縁。
  • 転地養蜂をするなら:運搬用の固定具と合うこと、巣門を完全に閉じて換気できること。

よくある質問

網底と密閉型の底板、どちらが良い?

多くの養蜂家にとっては、トレー付きの網底のほうが使いやすいでしょう。換気ができ、ダニの落下を監視できます。とても寒く風の強い地域では、冬にトレーを入れて密閉型に近い環境をつくれます。

巣箱の底板はどのくらいの頻度で掃除すべき?

少なくとも年に1回、早春に行います。冬に死んだ蜂が巣門をふさいでいたら暖かい日に巣門を掃除し、調査用トレーは計数のたびに拭きます。

冬は網底をふさぐ必要がある?

温暖な地域では必須ではありません。冬が厳しく絶えず風が当たる場所では、トレーを入れておくのが一般的です。どんな場合でも巣門は開けておきます。

なぜ底板は前に傾けるべき?

外蓋から染み込んだ水や巣内で結露した水を、巣門から外へ流すためです。数度の傾斜で十分です。巣枠は横ではなく、前後方向に傾くようにします。

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