蜜蓋切り用道具類

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蜜蓋切り用具とは、採蜜の前に巣房の口をふさいでいる薄いろうのふた(蜜蓋)を切る、持ち上げる、あるいは穴を開けるための手道具と機械の総称です。蜜刀、加熱式・電気式の蜜刀、蜜蓋掻き(フォーク)、針付きローラー、自動蜜蓋切り機があります。蜜蓋を切っていない巣房からは、遠心分離機でハチミツを取り出せません。このページでは各用具を比較し、どの規模にどれが適しているか、そして安全な使い方を解説します。

蜜蓋切りとは何か、なぜ必要なのか?

蜂は花蜜をハチミツに変え、水分を十分に飛ばすと、巣房の口を薄いろうのふたで閉じます。このふたを蜜蓋と呼びます。蜜蓋はハチミツを湿気や空気から守りますが、遠心分離機でハチミツが巣房から出るのも妨げます。そのため採蜜の前に両面の蜜蓋を取り除きます。よい蜜蓋切り用具とは次のようなものです。

  • 巣房の壁を深く切らずに蜜蓋を取り除ける
  • 巣房をできるだけ残らず開けられる
  • ハチミツを加熱したり焦がしたりしない
  • 養蜂家の作業速度と群数に合っている

蜜刀の種類

平刃と波刃の非加熱蜜刀

長く薄い、両面とも刃の付いたステンレス製の刃物です。波刃は蜜蓋をのこぎりのように切り、平刃はよりきれいな切り口を残します。蜜刀をぬるま湯に浸けて拭いてから使うと、ろうの上を滑らせやすくなります。安価で手入れも簡単です。

木の柄の平刃と波刃の蜜刀
2種類の蜜刀:上が平刃、下が波刃。どちらも長く薄く、木の柄が付いています。写真:Peter Grima / Wikimedia Commons · CC BY-SA 2.0

加熱式・電気式蜜刀

電気蜜刀は刃にヒーターが内蔵されており、蜜蓋を切るのではなく溶かしながら進みます。速く、きれいに作業できます。蒸気で加熱するタイプもあります。ここで重要なのは温度です。熱くなりすぎた刃はハチミツを焦がし、色や香りを損ないます。サーモスタット付きか温度調整のできるモデルを選び、刃を巣板の上で止めたままにしないでください。

トレーの上で電気蜜刀を使って蜜蓋を切っているところ
電気蜜刀が蜜蓋の下を滑っていきます。切り取った蜜蓋はそのまま下のトレーに落ちます。写真:User:Ben pcc / Wikimedia Commons · Public domain

蜜刀を使うときは

  1. 巣枠を蜜蓋切りトレーのピンに載せ、蜜蓋がトレーに落ちるよう少し傾けて持ちます。
  2. 蜜刀を巣枠の側木に当て、蜜蓋のすぐ下をのこぎりを引くように動かして滑らせます。
  3. 自分に向かってではなく、外に向かって切ります。
  4. 蜜刀はこまめに拭きます。ろうがたまった刃は巣板を裂いてしまいます。
蜜刀で蜜枠の蜜蓋を切っているところ
蜜刀を巣枠の桟に当てて滑らせています。開いた巣房ではハチミツが光っています。写真:yves Tennevin from La Garde, France / Wikimedia Commons · CC BY-SA 2.0

蜜蓋掻きと針付きローラー

蜜蓋掻き(アンキャッピングフォーク)は、柄に細いステンレスの針を並べたものです。針を蜜蓋の下に差し込んで持ち上げます。蜜刀の届かないくぼんだ巣房、縁、不規則な巣板には欠かせません。群数の少ない養蜂家なら、採蜜をすべて蜜蓋掻きで済ませることもできますが、大規模では時間がかかります。詳しくは「蜜蓋掻き」のページをご覧ください。

赤いプラスチックの柄の蜜蓋掻き
プラスチックの柄の蜜蓋掻き:細いステンレスの針を蜜蓋の下に差し込んで持ち上げます。写真:Peter Grima / Wikimedia Commons · CC BY-SA 2.0
プラスチック製の針付き蜜蓋切りローラー
針付きの蜜蓋ローラー:巣板の上を転がすと蜜蓋に穴を開けますが、蜜蓋を取り除くわけではありません。写真:Malgudi bee farm / Wikimedia Commons · CC0

針付きローラーは突起の付いた円筒で、巣板の表面を転がすと蜜蓋に穴を開けます。速いのですが、蜜蓋は巣房に残り、採蜜のときにくずとなってハチミツに混ざります。そのため、こし器の負担が増えます。

ヘザーハチミツ用の針付きほぐし器

ヘザー(Calluna vulgaris)のハチミツのように、ゼリー状(チキソトロピー性)のハチミツがあります。かき混ぜると流動化し、静置すると再び固まります。こうしたハチミツは通常の蜜蓋切りと遠心分離では取り出しにくいものです。そこで、蜜蓋を切った後に巣枠を針付きのほぐし器に通し、針で巣房内のハチミツをかき混ぜて流動化させます。もう一つの方法は巣板圧搾機です。

ヘザーハチミツの巣板をほぐすための針付きの機械
ヘザーのようなゼリー状のハチミツを遠心分離できる状態にする針付きほぐし器。巣枠を2列の針の間に通します。写真:R. Henrik Nilsson / Wikimedia Commons · CC BY 4.0

自動蜜蓋切り機

数百群規模の経営では、巣枠をレールから機械へ送り込みます。機械は振動式や加熱式の刃、回転するチェーンや針で両面を同時に開け、蜜蓋はスクリューやポンプで蜜蓋用遠心分離機や蜜蓋溶解器へ運ばれます。これらの機械は巣枠の寸法に合わせて調整され、きれいに造られた均一な厚さの巣板を必要とします。小規模経営では投資に見合いません。

用具速さ適した規模注意点
非加熱蜜刀中趣味・小規模よく研いでおくこと。切れない刃は巣板を裂く
電気蜜刀速い小〜中規模過熱はハチミツを焦がす。コードはハチミツから離す
蜜蓋掻き遅い趣味。どの規模でも補助用くぼんだ巣房には欠かせない
針付きローラー速い趣味蜜蓋がハチミツに残り、こし器の負担が増える
自動蜜蓋切り機非常に速い商業経営整った均一な厚さの巣板が必要

素材、衛生、安全

  • 素材:ハチミツに触れる刃先や蜜蓋掻きの針はステンレス、柄は食品用プラスチックかよく仕上げた木製であること。
  • 切れ味:蜜刀は研いでおきます。切れない刃は強く押し付ける必要があり、事故の危険が増します。
  • 電気:電気蜜刀はアース付きのコンセントにつなぎ、コードはハチミツや水から離し、使わないときは専用の掛け具に置きます。
  • 清掃:使うたびにぬるま湯で洗って乾かします。蜜蓋掻きの針の間に残ったろうはブラシで取ります。
  • 蜜蓋のろう:切った蜜蓋は別に集めます。ハチミツを垂らした後に溶かした蜜蓋のろうは、養蜂場で最もきれいな蜜ろうです。
ヒートガンや直火で蜜蓋を溶かすと、ハチミツが加熱され巣板も傷みます。こうした方法は使わないでください。

よくある質問

初心者はどの蜜蓋切り用具を買えばよい?

蜜蓋掻きと非加熱の蜜刀が1本ずつあれば十分です。群数が増えてきたら、電気蜜刀が時間の節約になります。

電気蜜刀はハチミツを傷める?

適切な温度ですばやく使えば傷めません。過熱した刃や、巣板の上で止めたままの刃はハチミツを焦がします。

蜜蓋ローラーと蜜蓋掻き、どちらがよい?

蜜蓋掻きは蜜蓋を持ち上げて取り除くので、きれいに仕上がります。ローラーは速いものの蜜蓋を巣房に残すため、こし器にたまるろうが多くなります。

蜜蓋切りでハチミツの損失を減らすには?

蜜蓋を薄く切り、こし器付きの蜜蓋切りトレーで1〜2日かけて垂らしてください。

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