専用女王蜂育成群(スターターコロニー)

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専用スターター巣箱とは、移虫した幼虫を王台として受け入れさせる段階、つまり女王蜂養成の最初の24時間のために用意する、あるいはその用途に合わせて整えた巣箱です。代表例は、換気付きのスウォームボックス(密閉式スターター)と、有王群を一時的に2つに分けるクローク板(スライド式仕切り板)です。新しい群を作るための巣箱ではなく、その唯一の役割は王台の受け入れ率を最大限に高めることです。このページでは、スターター巣箱の種類、構造上の特徴、準備の仕方、よくある失敗について解説します。

スターター巣箱は何のために使うのか?

移虫した幼虫が受け入れられるには、蜂が外から持ち込まれた王椀を「女王蜂の巣房」として自分のものとみなし、ただちに幼虫にローヤルゼリーをたっぷり与え始める必要があります。この意欲を最も強く示すのは、無王で、開放蜂児がなく、若い蜂でぎっしり満たされ、十分に給餌された群です。スターター巣箱は、群を組み替えるか、若い蜂を専用の箱に集めることで、この4つの条件を作り出します。

スターターは受け入れさせるだけです。受け入れられた王台は約1日後、封蓋して成熟するまで育てられるフィニッシャー巣箱へ移されます。スターター群とフィニッシャー群の管理はそれぞれのページで詳しく解説しており、このページではスターターに使う機材と構成に焦点を当てます。

有王フィニッシャー巣箱における隔王板、移虫枠、花粉枠、蜂児枠の位置を示す図
養成巣箱の図:女王蜂は隔王板の下の下段にいます。上段では移虫枠(Graft Cells)の片側に花粉と蜜、反対側に若い開放蜂児があります。クローク板方式では、同じ巣箱がまずスターター、次にフィニッシャーとして働きます。写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

スターター巣箱にはどんな種類があるのか?

種類しくみ長所短所
スウォームボックス(密閉式スターター)数キログラムの若い蜂を、巣門のない換気付きの箱に振り落とし、数時間後に王台を入れる非常に強力で予測しやすい受け入れ率、群の秩序を乱さない蜂を振り落とす手間、暑さや水不足で蜂を失うおそれ
無王スターター群強群から女王蜂と開放蜂児を取り除く追加の機材が不要群が消耗し、ロットごとに準備し直す必要がある
クローク板(スライド式仕切り板)強い有王群の上段を、スライド板で一時的に無王にし、その後板を抜いて同じ群に仕上げさせる1群でスターターとフィニッシャーを兼ねられる群が非常に強く、タイミングを守ることが必要
有王スターター兼フィニッシャー流蜜期に、女王蜂を隔王板で下段に置いた蜂の多い群が上段で王台を育て始める手間が最も少ない受け入れ率が無王方式よりばらつきやすい

スウォームボックス(密閉式スターター)の作り方

スウォームボックスは、標準巣枠を数枚収容でき、巣門がなく、側面や底が金網で覆われた木箱です。蜂は箱の中に閉じ込められるため、設計の細部はすべて換気、水、餌を中心に考えられています。

  • 金網面:側面や底に広い金網を張り、密集した蜂が出す熱と湿気をここから逃がします。金網は、蜂が外に出られない細かさでなければなりません。
  • 巣枠の配置:両端に蜜枠と花粉枠を置き、中央に移虫枠を入れる空間を空けます。開放蜂児は入れません。
  • 給餌器:ふたか内部に、蜂が溺れない糖液給餌器を設けます。密集した蜂は数時間で餌を消費します。
  • 水:暑い日には金網に水を吹きかけたり、濡れたスポンジを入れたりすると、蜂が体を冷やすのに役立ちます。
  • ふたと取っ手:しっかり閉まり、上から王台を入れる開口部のあるふた。振り落としや運搬のための取っ手。
側面が金網張りでふた付きの木製スウォームボックス
側面が金網張りで、ふたに開口部のある木製スウォームボックス。金網面が、中で蜂球を作る大量の蜂の熱と湿気を外へ逃がします。写真:Maja Dumat from Deutschland (Germany) / Wikimedia Commons · CC BY 2.0

スウォームボックスの手順

  1. 準備:箱に蜜枠と花粉枠を入れ、中央に移虫枠用の空間を空け、給餌器を満たします。
  2. 蜂の振り落とし:いくつかの強群の開放蜂児枠から若い育児蜂を箱に振り落とします。女王蜂が箱に落ちていないことを確認してください。
  3. 無王状態で待機:箱を涼しい日陰に置きます。蜂は数時間のうちに無王状態を感じ取り、蜂球を作ります。
  4. 王台を入れる:移虫した巣枠を、蜂を揺らさないようにふたの開口部から中央の空間へ下ろします。
  5. 移し替え:約24時間後、受け入れられた王台をフィニッシャーへ移します。蜂は元の群か新しい分割群に戻します。
スターターでローヤルゼリーに浮かぶ幼虫が入った、受け入れ済みのプラスチック製王椀
受け入れられた王台:育児蜂が王椀に集まり、幼虫はたっぷりのローヤルゼリーの中にいます。よいスターターに1日入れた後に期待される状態です。写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

クローク板はどのように使うのか?

クローク板は、2段の巣箱の間に置く器具で、中央に隔王板があり、その上に水平に差し込めるスライド式の板が付いています。通常、上段専用の後部巣門も備えています。

  1. 準備:非常に強い2段群で、女王蜂を隔王板の下の下段に置きます。上段には開放蜂児、花粉、蜜の巣枠を入れます。
  2. 無王にする:移虫の約1日前にスライド板を隔王板の上に差し込み、上段を下段と女王蜂の匂いから切り離します。上段の後部巣門を開け、前の巣門は下段用に残します。
  3. スタート:上段は無王のスターターのように振る舞うようになるので、ここに移虫枠を入れます。
  4. 仕上げ:1日後にスライド板を抜くと、上段は隔王板のおかげで有王のフィニッシャーになります。このとき、上段の蜂児枠に造られた自然王台は壊しておきます。

この方式なら、群数の少ない養蜂家でも1つの巣箱でスターターとフィニッシャーを兼ねられます。ただし、群が本当に蜂であふれていなければ、受け入れ率は低いままです。

巣枠の間を蜂が完全に埋め尽くしている蜂の多い養成群
蜂の多い養成群:蜂が巣枠の間からあふれるほど密集しています。印を付けた巣枠には移虫した王台が付いています。スターターに求められるのは、この密度です。写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

よいスターター巣箱の条件

  • 密度:蜂が巣枠の間を完全に埋めていなければなりません。「強そうに見える」群では不十分です。
  • 若い蜂:下咽頭腺が発達した育児蜂を開放蜂児枠から集めます。年老いた外勤蜂は王台に給餌しません。
  • 開放蜂児がないこと:開放蜂児は育児蜂の注意を分散させ、蜂が自分の幼虫から緊急王台を造る原因になります。
  • 餌:自然の流蜜がない場合、準備の数日前から糖液と花粉を補給すると受け入れ率が明らかに上がります。
  • 涼しさと換気:密閉した箱では過熱で蜂が死ぬことがあります。換気と日陰は必須です。

よくある失敗

  • スウォームボックスを日なたに置く:密閉された満員の箱は数時間で過熱します。
  • 女王蜂を箱に振り落としてしまう:箱に女王蜂がいると王台は受け入れられず、元の群も無王になります。
  • 王台をスターターに長く置く:無王スターターは長く給餌を続けられません。1日後にフィニッシャーへ移してください。
  • スライド板を抜き忘れる:上段が長く無王のままだと、自前の王台を造り、群が消耗します。
  • 毎回同じ群を使う:スターターとして使う群は、交代で休ませる必要があります。
スターターで蜂が口をろうで伸ばし始めた緑色のプラスチック製王椀
スターターで造られ始めた王台:蜂が緑色のプラスチック製王椀の口をろうで伸ばしています。この段階を過ぎたら、王台をフィニッシャーへ移します。写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)
スウォームボックスの蜂は数時間で糖液を使い果たすことがあり、暑さにもすぐに参ってしまいます。箱は日陰に置き、給餌器を満たしておき、暑い日には金網に水を吹きかけてください。水も換気もない箱では、蜂の損失が非常に速く進みます。

よくある質問

スターター巣箱とフィニッシャー巣箱は同じもの?

いいえ。スターターは最初の1日に王台を受け入れさせるだけで、フィニッシャーは受け入れられた王台を封蓋・成熟まで育てます。クローク板方式では、同じ巣箱が順番に両方の役割を果たします。

スウォームボックスには蜂をどれくらいの時間入れておく?

王台を入れる前に数時間、入れた後に約1日です。その後、王台はフィニッシャーへ、蜂は元の群へ戻します。

スターターに開放蜂児があってはいけないのはなぜ?

開放蜂児は育児蜂の関心を分散させ、蜂が自分の幼虫から緊急王台を造る原因になるため、移虫した王台の受け入れ率が下がります。

スターター巣箱は新しい群を作るのに使える?

いいえ。スターター巣箱は女王蜂養成で王台を受け入れさせるための一時的な構成です。新しい群を作るには分割群や核群を使います。

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