給餌:シロップ、キャンディ、花粉

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ミツバチの給餌とは、蜂群が自然からまかなえない炭水化物(糖液、ケーキ)やたんぱく質(花粉、代用花粉)の不足を、養蜂家が巣箱の中で補うことです。このページは、どんな場合に、どの餌を、いつ、どのように与えるかを判断するための道しるべです。糖液、ケーキ、花粉の与え方の詳細は、それぞれのページで解説します。

蜂に給餌は必要なのか

給餌は決まりきった作業ではなく、管理上の判断です。条件のよい地域で、十分な蜂蜜を巣箱に残してもらった強い蜂群なら、たいていの年はまったく給餌しなくても冬を越せます。一方、蜜源の不作の年、遅い春、採りすぎ、つくったばかりの分割群や分蜂群には給餌が必要です。

給餌を決める前に問うべきことは、いつも同じです。この蜂群は本当は何を必要としているのか? エネルギー(炭水化物)なのか、蜂児を育てるためのたんぱく質なのか、それともどちらでもないのか。間違った餌は、餌を与えないのと同じくらい害になることがあります。

炭水化物か、たんぱく質か:二つの別々の必要

  • 炭水化物(糖液、ケーキ): 飛行、蜂球の保温、蝋の生産、越冬の貯えに必要なエネルギーをまかないます。自然界でこれにあたるのは花蜜と蜂蜜です。
  • たんぱく質(花粉、代用花粉): 育児蜂がローヤルゼリーをつくり、幼虫が育つために必要です。自然界でこれにあたるのは花粉と、巣板に貯えられた蜂パン(ビーブレッド)です。

糖液は蜂群にエネルギーを与えますが、それだけでは蜂の数は増えません。新しい蜂を育てるにはたんぱく質が必要です。逆に、花粉は豊富でも蜂蜜の尽きた蜂群は飢え死にすることがあります。蜂児圏のまわりにまず花粉の帯、その外側に蜂蜜の帯が見られるのは、バランスよく栄養をとっている蜂群のしるしです。

蜂児圏のまわりに花粉と蜂蜜の帯がある巣枠
健康な蜂児枠:中央に有蓋蜂児、そのまわりに色とりどりの花粉の帯、いちばん外側に蜂蜜。この配置が崩れていたら、給餌の必要を見直しましょう。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

どんな場合にどの餌を与えるのか

次の表は、よくある場面ごとの一般的な判断の目安です。地域の気候や植生によって、時期はずれることがあります。

状況基本的な必要適した餌
秋、越冬の貯えが不足、まだ暖かいエネルギー(貯蔵用)濃い糖液(砂糖2:水1)
真冬または早春、貯えが尽きかけ、寒い緊急のエネルギーケーキ(フォンダン)を蜂球の真上に
早春、育児が始まったが自然に花粉がないたんぱく質(+少しのエネルギー)花粉ケーキまたは代用花粉
主流蜜期の前に蜂群の発育を早める刺激としてのエネルギー薄い糖液(1:1)を少量ずつ頻繁に
新しい分蜂群、分割群、巣礎の造巣エネルギー(蝋の生産)薄い糖液(1:1)
夏の無蜜期、長い干ばつエネルギー、ときにたんぱく質貯えを確認し、必要なら糖液と花粉ケーキ
継箱を載せ、流蜜が続いている—給餌しない

糖液、ケーキ、花粉の違い

糖液

糖液(シロップとも呼ばれる)は、砂糖を水に溶かしてつくる液体の餌です。蜂はこれを花蜜のように取り込み、水分を蒸発させて巣板に貯えます。そのため効果があるのは、蜂が飛べて、日中の気温がおよそ10〜12 °Cを超える時期だけです。薄い糖液(1:1)は産卵と造巣を刺激し、濃い糖液(2:1)は水分が少ないため、すばやく越冬の貯えになります。詳しくは「糖液の与え方」のページをご覧ください。

トレー型給餌器に自家製の砂糖液を注ぐところ
巣箱の上のトレー型給餌器に自家製の砂糖液を注いでいるところ。糖液は暖かい時期に与える、蜂が貯蔵できる餌です。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

ケーキ

給餌用ケーキ(フォンダン、練り砂糖、キャンディ)は、ほとんど水分を含まない固形の砂糖の餌です。蜂が加工して貯える必要はなく、蜂球が直接食べて消費します。そのため、糖液が加工できない寒い季節の冬の緊急給餌の主な方法です。ケーキは秋に十分な貯えをつくることの代わりにはならず、あくまで安全網です。詳しくは「ケーキの与え方」のページにあります。

内蓋の上でケーキを食べる蜂
内蓋の上に置いた、包装を開けたケーキ。蜂はケーキを下から食べて空にしていきます。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

花粉と代用花粉

天然の花粉が最良のたんぱく質源です。代用花粉(大豆粉やビール酵母などの成分でつくるたんぱく質飼料)や花粉補助飼料(本物の花粉を含む飼料)が意味をもつのは、自然に花粉がないか足りないときだけです。早く与えたたんぱく質は蜂児を早く育てます。これは春には利点にもなりえますが、貯えが急速に尽きる原因にもなりえます。詳しくは「花粉の与え方」のページにあります。

内蓋の穴の上に置いた花粉入りケーキ
春に内蓋の穴の上に置いた花粉入りのケーキ。蜂は下の穴から餌に届きます。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

給餌はどう判断するのか

最も確かな方法は、推測ではなく測ることです。

  1. 巣箱を量るか持ち上げる: 巣箱の後ろを軽く持ち上げる(持ち上げ確認)と、貯えのおおよその見当がつきます。一年を通して同じ巣箱を定期的に持ち上げている養蜂家は、軽い巣箱と重い巣箱をすぐに見分けられるようになります。巣箱用の秤を使えば、より正確な結果が得られます。
  2. 貯蜜枠を数える: 完全に満たされ蜜蓋のかかったラングストロス式の育児箱の巣枠1枚には、約2〜2.5 kgの蜂蜜が入っています。半分満たされた巣枠は半分として数えます。
  3. 気候に応じて必要量を決める: 越冬の貯えの必要量は地域によって大きく異なります。温暖な沿岸地域では少なく、冬が長く厳しい内陸や東部の地域ではかなり多くの貯えが必要です。地元の経験豊かな養蜂家の越冬の目安を聞いておきましょう。
  4. 花粉の状態を見る: 蜂児圏のまわりに蜂パンがなく、自然に花が咲いていなければ、たんぱく質が必要です。
  5. 蜂群の強さを評価する: 弱群に給餌しても問題が解決するとは限りません。まず弱っている原因(病気、バロア、女王蜂の問題)を調べましょう。
冬に餓死した、頭を巣房に突っ込んだ蜂
冬の終わりに餓死した蜂群:蜂は巣房に頭を突っ込み、巣板に蜂蜜はまったく残っていません。給餌が遅れたときの典型的な姿です。 写真:APHA (National Bee Unit), Crown Copyright · Open Government Licence v3.0 (Crown Copyright)

給餌の基本ルール

  • 餌は巣箱の中で、蜂群ごとに与える。 蜂場に開いた容器を置く(開放給餌)と、盗蜂が始まり、病気が巣箱のあいだで運ばれ、最も強い蜂群ばかりが得をします。
  • 夕方に与える。 飛行が減ってから与えた糖液は、盗蜂の興奮を抑えます。
  • こぼさず、巣箱の前を汚さない。 こぼれた糖液やケーキのかけらは、盗蜂やスズメバチを引き寄せます。
  • 巣門を狭める。 特に弱群では、給餌の期間は盗蜂のリスクが最も高い時期です。
  • 白砂糖だけを使う。 黒砂糖、糖蜜、ブドウの濃縮果汁(ペクメズ)、カラメル化したり焦げたりした砂糖は、蜂の消化障害や下痢の原因になることがあります。
  • 出どころのわからない蜂蜜を与えない。 ほかの蜂場や店で買った蜂蜜は、アメリカ腐蛆病などの病気の芽胞を含んでいることがあります。
  • 給餌器を清潔に保つ。 発酵したりカビが生えたりした餌の残りは蜂に害を与えます。
継箱を載せているあいだは給餌しない。 蜂は糖液を加工して巣板に貯えます。そうしてできたものは蜂蜜ではなく、砂糖のシロップです。これは消費者をだますことになるうえ、蜂蜜の偽装として法的な問題にもなります。給餌の前に継箱を外し、給餌のあとに継箱を載せるなら、育児箱に糖液が残っていないことを確かめてください。

給餌のしすぎや誤った給餌の弊害

  • 蜂児圏の縮小: 余分な糖液が育児房に貯えられ、女王蜂は産卵する場所を失います。春には、これが分蜂しやすさも高めます。
  • 遅れた糖液: 寒くなってから与えた糖液は加工されず、巣箱の中で水分が多いまま残り、発酵して蜂にストレスを与えることがあります。
  • 早すぎるたんぱく質: 自然の蜜源が始まる前に育てた蜂児は、貯えを急速に使い果たす原因になりえます。
  • 無駄な費用: 蜜源があるときの給餌は、お金と労力の損失です。

給餌の年間スケジュール(一般)

時期は地域によって何週間もずれることがあります。次の順序は一般的な考え方を示しています。

  1. 冬の終わり: 貯えの確認(巣箱の持ち上げ)。必要ならケーキ。
  2. 早春: 自然の花粉がなければ花粉ケーキ。貯えが少なければケーキ、暖かくなったら糖液。
  3. 流蜜期の前: 必要なら薄い糖液で刺激給餌。継箱を載せる前に終えます。
  4. 夏: 継箱を載せているあいだは給餌しない。採蜜のあとに貯えを確認。
  5. 秋: 不足している越冬の貯えを、寒くなる前に濃い糖液で補います。バロア対策もこの時期に計画します。

よくある質問

蜂には糖液とケーキのどちらを与えるべきですか?

暖かく、貯えをつくらせたいなら糖液を、寒くて蜂群が飢える危険があるならケーキを与えます。寒いときに与えた糖液は加工されません。

蜂に蜂蜜を与えてもよいですか?

自分の蜂場の、健康であることが確かな蜂群の蜂蜜だけなら使えます。出どころのわからない蜂蜜は、病気の芽胞を含んでいることがあります。

冬に向けて巣箱にどれくらい蜂蜜を残すべきですか?

これはまったく気候しだいです。温暖な地域では少なく、冬の長い地域ではずっと多くの貯えが必要です。地元の経験豊かな養蜂家の目安を基準にし、巣箱を定期的に持ち上げて確かめてください。

花粉を与えると蜂群は大きくなりますか?

蜂児を育てるにはたんぱく質が必要です。自然に花粉がなければ、花粉ケーキは育児を支えます。ただし意味があるのは、自然の花粉が足りず、貯えが十分にあるときだけです。

継箱を載せたまま弱群に給餌してもよいですか?

いいえ。継箱を外して給餌するか、その蜂群からの採蜜をあきらめてください。そうしないと糖液が継箱に運ばれてしまいます。

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